栄養:食べる力と一生の健康を育む「補完食」
【エビデンスの視点】
最近の小児栄養学では、従来の「離乳食」という呼び方に加え、母乳やミルクだけでは足りなくなる栄養(エネルギー、鉄分、亜鉛など)を補うという意味の「補完食(Complementary Feeding)」という考え方が主流になっています。
補完食の3つのポイント
- エネルギー密度を高く
少量でもしっかり栄養が摂れるよう、お粥だけでなくタンパク質や脂質もバランスよく取り入れます。 - 鉄分・亜鉛を意識
生後6ヶ月頃からお母さんからもらった鉄分が急激に減るため、これらを多く含む食材を優先的に与えます。 - アレルギー予防
卵などの原因になりやすい食品も、遅らせずに生後5〜6ヶ月から少量ずつ始めることが推奨されています。
月齢別:栄養・カロリー・量の目安
赤ちゃんの胃は小さいため、効率よく栄養を摂ることが大切です。
初期(生後5〜6ヶ月頃):食べることに慣れる時期
| 1日の回数 | 1〜2回 |
|---|---|
| エネルギー目安 | 約200kcal / 日(母乳・ミルク含む) |
| 1食の目安量 | つぶし粥:小さじ1〜大さじ2程度 野菜・果物:小さじ1〜 豆腐・白身魚:小さじ1〜 |
アドバイス
まずは「飲み込む」練習から。味よりも「食べる楽しさ」を伝えてあげましょう。
中期(生後7〜8ヶ月頃):モグモグと舌でつぶす時期
| 1日の回数 | 2回 |
|---|---|
| エネルギー目安 | 約600kcal / 日(うち補完食から約100〜150kcal) |
| 1食の目安量 | 全粥:50〜80g 野菜・果物:20〜30g 魚・肉:10〜15g(または豆腐30〜40g) |
アドバイス
鉄分不足を補うため、赤身の魚(マグロやカツオ)、レバー、卵黄を積極的に取り入れ始めましょう。
後期(生後9〜11ヶ月頃):カミカミと歯ぐきでつぶす時期
| 1日の回数 | 3回 |
|---|---|
| エネルギー目安 | 約700kcal / 日(うち補完食から約300〜400kcal) |
| 1食の目安量 | 全粥:90g 〜 軟飯:80g 野菜・果物:30〜40g 魚・肉:15g(または豆腐45g、全卵1/2個) |
アドバイス
手づかみ食べを始める時期です。エネルギー密度を高めるため、少量のバターや植物油を調理に加えるのも有効です。
鉄分・亜鉛を逃さないために
補完食において、特に不足しやすいのが「鉄分」と「亜鉛」です。
- 鉄分を多く含む食材
牛赤身肉、鶏レバー、青魚、小松菜、納豆、育児用ミルク。 - 亜鉛を多く含む食材
肉類、卵黄、大豆製品。 - ビタミンCと一緒に
野菜や果物に含まれるビタミンCは、植物性の鉄分の吸収率を高めてくれます。
院長からのメッセージ
「目安量通りに食べない」と不安になる必要はありません。赤ちゃんの食欲にはムラがあるのが当たり前です。 大事なのは、量そのものよりも「母乳やミルクだけでは足りない栄養素を少しずつ補っていく」という意識です。当院では医師による相談も行っていますので、一人で悩まずにいつでもお話しください。